キッズ・ジュニア振付のアイディアとして
JAF普及指導員として、ジュニアエアロビックの指導資格講習会を担当してきました。 受講者のプロフィールは多岐にわたり、これから指導者を志す学生さんから、指導経験豊富なエアロビック競技指導者、或いは、教育機関の教職員の方々まで、様々な方と講習会を通して、交流し、意見を交換することができました。
受講者の皆さんの顔を思い浮かべるとき、様々な思いに駆られます。講習会で得た知識を有意義に活用できていますでしょうか?応用するにあたり、必要な情報やアイディアはありますか?指導対象者のニーズに変化はありましたか?その後の活動の様子をを伺ってみたいものです。
連盟が主幹する、スズキジャパンカップ全日本総合エアロビック選手権大会のチーム競技では、エンジョイ・チーム部門と、新しく、エアロビックダンス部門が加わりました。演技全般を通して、テーマ性があり、音楽性や演出も含めた作品構成が求められます。いまこそ指導資格を最大限に活用し、ジュニアエアロビックの世界を広げ、新たな展開を模索する好機と捉えています。
一般的にダンス作品は、楽曲と、洗練されたコレオグラフィー、スキルフルな踊り手とが奏でる、三重奏に芸術性を感受します。また、踊り手と観覧者間での、感動の共有に意義を見出します。
私が主宰するダンス教室は、2歳から大人までを対象とし、様々なダンスクラスを開講しています。安全に、楽しく、効果的な指導をねらいに、24年にわたり舞台作品をつくりあげてきました。
また、さらに上手になりたい、上手にさせたいという、指導者、対象者両面からのニーズにより、10年前より、ジュニアエアロビック検定を導入し、ダンス種に関わらず、稽古の主運動に用いる試みを実践しました。発表会等の舞台でも、ジュニアエアロビック検定の動きを取り入れた振付ダンス作品を出展し、スキルアップの効果を実感しているところです。
これから、指導者の皆様の項で、4回にわけて、子どもの表現力を生かした振付ダンスの手法を、紹介していきます。皆さんの活動の幅を広げるヒント、あるいは、新たな試みになれば幸いです。
1. 日本語(母国語)の歌詞から広がるイメージ
2. 音を聴く ~音を楽曲に再編成~
3. 既存の振付を上手に取り入れる
1. 日本語(母国語)の歌詞から広がるイメージ創り
日本エアロビック連盟では、エアロビックを、「軽快な音楽のリズム(ビート)に同調した、明確で多様な動きと美的表現の技術を競い合う(または楽しむ)スポーツ」と定義しています。他のダンスと同様に、音楽の楽しさに触れる、からだを動かす心地よさを味わうことが原点となります。
私は、身体表現の基礎教材として、伝承あそびや、手あそびを用いることを保育教育より学び、現場にてその効果を実感しています。母国語の童謡、伝承あそびや手あそびは、子どもたちの日常の話し声と同じ息(呼吸)や、リズムを内在しており、自然に出てくる言葉や、リズムを繰り返し楽しむことで、それらが語りかける文化や、表現の源になる情操を、あそびながら育むことができます。
保育の現場では主題となるテーマですが、ダンスを介在にすることで、からだづくりと並行して情操の教育を行うことができるという利点も加わります。このことは、エアロビックのレディネスを形成するうえでも、大切な要件になります。
私は、上記とエアロビックと結びつける、効果的な指導法として以下のことを留意しています。
①手あそびは伝承されている原型を用います。(母国語の呼吸に合致したもの)
②みんなで歌いながら手あそびを楽しみます。(同じ情操を味わい共有する)
③からだの動きを加えダイナミックな動きへと変化させていきます。(協応動作の基礎となる)
④エアロビックの基本ステップを加え、音楽をかけて、歌いながら踊ります。(情操表現とエアロビックの融合)
私が幼児を対象とした、ダンスの振り付けを考案する際は、「音楽の歌詞に合わせた表現」「リズムに合わせた動き」そして、「テーマに添ったあそび」の3要素をもとに組み立てていきます。
音楽を選択する際は、クラスの年齢や嗜好合わせ、背伸びせずに楽しめ、やる気が直裁に出るものを選びます。リズムに合わせた動きは、エアロビックの基本ステップを土台に、様々なダンスの要素を取り入れ、のびやかな動きを基調に考えます。ダンスの動きのみならず、様々なあそびの要素や遊具を工夫して取り入れ、からだへの運動刺激の多様性と、情操表現が活発に促されるように工夫します。
さらに、舞台作品に昇華させるうえでは、グループダンスとしてのフォーメションや演出を加え、10回の稽古で完成させるレベル設定を目安としています。
手あそびやリズムあそびを行う際の音楽として、今年は、音楽配信サイトより、kidsDance!!というアルバムを見つけ使っています。実用的でスローエアロビック等にも応用ができるところが気に入っています。
2. 音を聴く ~音を楽曲に再編成~
ジュニアエアロビックの世界を広げる、ひとつの方法として、音を楽曲へと再構成し、自然に湧き出す情操を生かした、ダンスの振付を考えてみてはいかがでしょうか?
楽曲構成の要素として、下記の5つがあげられます。これを踏まえて音の特性を理解し、対象者の特徴やダンススキルと折り合いをつけていきます。たくさん回数を聴くことが肝要となります。
私が作品を創作するうえで、楽曲構成の具体的な方法と序列です。
3. 既存の振付を上手に取り入れる
最終回では、検定動作の取り入れ方を、Cling Cling(パフューム)の曲で、具体的にご紹介します。
ジュニア検定1級に合格し、技能検定2級にチャレンジしていた3名のために、無理なく楽しくできる様に工夫しました。最近は、振付のある楽曲が数多くあります。子どもたちの年齢やテーマにあった音楽を選択し、曲の構成や歌詞の内容、アーティストのかっこいいステップや特徴的な動きなども取り入れて振付します。
この曲では、パフュームのチャイナ風振り付けに検定動作を合わせました。エアロビックの動きは、検定動作の他にフライトルーティンや、ジュニア検定演技などを連盟ホームページ動画から取り入れました。
毎年振付が更新されるので、とても役に立っています。子どもたちの情操豊かな表現を引き出し、エアロビックのみならず、子どもたちが長期に渡ってダンスを続けられる様、これからも勉強を続けていきたいと思っています。
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